キャンブラとは
日本に導入されたばかりの新時代の予防システム
キャンブラ(CAMBRA)とは、患者さん一人ひとりに合ったむし歯予防の方法がわかるツールです。発祥国のアメリカでは広く普及しており、国内で実践している歯科医院はまだ少なく新時代のシステムだと言えます。
なぜアメリカで生まれ、普及しているのか?
65の歯科大学のうち、40校で導入
アメリカは日本とは違って国民のすべてが公的な保険に加入できる制度がないため、医療費が高くなる傾向にあります。そのため、歯科医療においても、高い治療費を払わないで済むためにどうすればむし歯を予防できるかという議論が盛んに行われてきました。そうした中で生まれたのがキャンブラです。
アメリカでは65の歯科大学のうち、40校でキャンブラが採用されています。
キャンブラの特徴
一人ひとりに合った効率的な予防法がわかる
キャンブラの特徴の一つは、患者さん一人ひとりに合った効率的な予防方法がわかることです。今までの予防方法は「甘い物を控えましょう」「フッ素を塗布しましょう」といった風に一般論に終始してしまい、その患者さんが、たくさんある予防方法の中で特にどんなことを重視すれば良いかがわかりませんでした。歯科医師でも患者さんがむし歯になる要因の大小まではわからなかったので、問診をして食習慣やブラッシングの方法を尋ね、良いだろうと思われる改善策を提案することしかできなかったのです。
キャンブラを使えば、患者さんのむし歯リスクの要素がわかるため、その要素を防ぐにはどんな対策をすれば良いかもわかります。結果的に、予防方法の優先順位がわかり、効率化につながるのです。
むし歯リスクと予防法の「見える化」が図れる
キャンブラでは、「カリエスリスク評価フォーム」という専用のシートを使います。この用紙は、「疾患」「リスク」「防御」(予防法)という3つのカテゴリーに分かれており、それぞれにチェックが入れられるようになっています。
「防御」も同様に、フッ素入り歯磨き粉の使用回数、歯科医院でのフッ素塗布のペースなどが書かれています。
シンプルだけど、画期的な予防ツール
問診や検査をして、歯科衛生士がシートにチェックをしていくことで、むし歯の発症リスクと予防方法が患者さんにも見える形でわかるようになります。「疾患」と「リスク」の該当する項目の分だけ「防御」をしていく必要があるのです。
一見すると単純なシステムなのですが、このようにむし歯のリスクとそれを踏まえた予防方法が目で見てわかるものは今までありませんでした。シンプルですが、画期的な予防ツールだと言えるでしょう。
患者さんの知識が増えて、セルフケア力が向上する
むし歯を予防するためには、患者さんの日ごろのセルフケアが重要で、歯科医院で定期的にメンテナンスを行うことで予防の効果がさらに高まります。
キャンブラを使うことで、患者さんの口の状態とむし歯の発症リスク、それに合った効果的な予防方法がトータルにわかるため、患者さんのセルフケア力が向上します。
また、自分の口の状態とケアにおける課題・改善点がわかるので、歯への興味が高まり、楽しみながらセルフケアを行えるようになります。
キャンブラを使った診療の流れ
カウンセリングとシートへの記入
患者さんの食習慣や歯磨きの方法、日ごろ使っているオーラルケアグッズ、最後にむし歯の治療をした時期などについて歯科衛生士がヒアリングし、キャンブラの専用シートに記入していきます。
唾液検査
口の中の状態をくわしく調べるために、各種検査を行います。
検査内容
- 口腔内の細菌の数を調べます
- 磨き残しを数値化します
- 口腔内検査
結果の説明
むし歯のなりやすさが4つのグループのうちのどれに当てはまるかを判定し、結果に基づいて患者さんに合った予防の方法をお伝えします。
むし歯になりやすいリスクの分類
ローリスク | むし歯になる可能性が低い。 |
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ミドルリスク | むし歯になる可能性は高くはないが、注意が必要。 |
ハイリスク | むし歯になる可能性が高い。 |
エクストリームリスク | むし歯になる可能性が極めて高い。 |